ベトナム 移住 ビザ 種類 – エージェント6年で見た選択ガイドと注意点

この記事でわかること

  • ベトナム移住ビザを「目的×滞在期間×受入主体」の3軸で7類型から絞り込む判定軸
  • e-visa・観光DL・商用DN・労働LĐ・結婚TT・投資ĐT・一時居住カードTRCの違いと使いどころ
  • ベトナムに退職ビザがない問題と、50代以上が現実的に取れる3つの選択肢
  • 投資ビザĐT1〜ĐT4の投資額階層と取得難度の目安
  • ハノイ vs ホーチミンの物価・気候・コミュニティ比較と、6ステップの判定フロー

公的情報源: 在ベトナム日本国大使館 査証案内JETRO ベトナム投資制度(いずれも2026年時点の参照)

ベトナム移住を考え始めると、まず引っかかるのが「結局どのビザを選べばいいのか」という入口の悩みです。タイのリタイアメントビザのような分かりやすい長期ビザを期待して調べ始めると、ベトナムには退職者向けの長期ビザが存在しないという事実にぶつかります。

ベトナムのビザは制度改正の頻度が高く、2023年8月にはe-visaが大きく拡張されました。だからこそ「いま」と「目的」で整理しないと、古い情報のまま申請に進んでしまいます。

この記事では、ベトナム移住ビザの主要7類型を3つの軸で順番に当てはめて絞り込む方法を整理します。なお、個別のビザ要件・必要書類・最新の制度改正は、申請前に在ベトナム日本国大使館・在ホーチミン日本国総領事館・ベトナム入国管理局の公式情報でご確認ください。

結論を先に書きます

ベトナム移住ビザは「目的×滞在期間×ベトナム側受入主体」の3軸で、7類型から1〜2つに絞り込めます。短期下見はe-visa、就労はLĐ、結婚はTT、投資・起業はĐT、長期居住の安定にはTRC(一時居住カード)が鍵です。

最大の前提は、ベトナムに退職者向け長期ビザが存在しないこと。タイ・マレーシア・フィリピンのような「年金・預金ベースのリタイアメント枠」がないため、50代以上の長期居住希望者は別の3軸で考える必要があります。

この記事の要点
  • ビザは「目的×滞在期間×受入主体」の3軸で7類型から選ぶ(2026年時点の整理)
  • e-visaは2023年8月に最長90日マルチプル化。短期下見・観光の中心的な選択肢
  • ベトナムに退職ビザはない。50代以上はTT(結婚)・ĐT(投資)・e-visa繰り返しの3軸から選択
  • 長期居住の安定にはTRC(一時居住カード)取得が要

目次

ベトナム移住ビザは「目的×滞在期間×受入主体」の3軸で選ぶ

まずは全体像から押さえます。在ベトナム日本国大使館 査証案内JETRO ベトナムを踏まえると、日本人が使う主要ビザは7類型に整理できます。

判定に有効なのは、次の3つの軸を順番に当てはめることです。

判定軸確認内容判定への影響
①目的観光・下見/商用/就労/家族・結婚/投資・起業/長期居住就労はLĐ+労働許可証、投資はĐT、結婚はTT、短期はe-visa
②滞在期間30日以内/90日(e-visa上限)/1年/2〜10年e-visa=最長90日、DN/LĐ=1年程度、ĐT1=最長10年
③受入主体受入企業/配偶者/投資先法人/なし受入主体なしで取れるのはe-visa・観光のみ

この3軸を順に当てはめると、選ぶべきビザは7類型のうち1〜2つに絞り込めます外務省 ベトナム基礎データでも、日本国籍者の入国には原則ビザまたは事前申請のe-visaが必要と整理されています。

ビザ免除措置が運用される時期もありますが、最新の取扱いは渡航前に必ず公式情報で確認するのが安全です。

なぜベトナムでは「受入主体の有無」が他国より重要なのか

ベトナムが他のASEAN諸国と最も違うのは、長期滞在ビザのほぼ全てに「ベトナム側の受入主体」が必須という点です。タイのO-A、マレーシアのMM2H、フィリピンのSRRVは、いずれも預金・所得・年齢を満たせば本人単独で申請できます。

一方ベトナムには、本人単独・年金・預金ベースの退職者向け長期ビザがありません。必ず「ベトナム側の誰かが招聘・受入する」構造が前提です。

この事実が、ベトナム移住ビザ選びの最初の分岐点になります。退職後の長期滞在先として考える場合は、後述の3軸(TT・ĐT・繰り返しe-visa)で検討し直すことになります。

ビザ7類型の全体マトリクス(目的×滞在期間×受入主体)

7類型を3軸で並べると、判定が一段とクリアになります。在ベトナム日本国大使館 査証案内を踏まえた整理は次の通りです(数値は2026年時点の目安で、変動します)。

ビザ種別(記号)主な目的滞在期間の目安受入主体更新・TRC連動
e-visa(電子査証)観光・下見・短期商用最長90日マルチプル不要更新不可・出国後の再申請可
DL(観光)観光・短期滞在30〜90日不要(一部に招聘者)現地延長は限定的
DN(商用)商談・出張・短中期3〜12ヶ月受入企業(招聘状)更新可・要件次第でTRC候補
(労働)現地雇用での就労労働許可証に連動(最長2年)雇用主企業(許可証必須)更新可・TRC申請可
TT(家族・結婚)配偶者・家族との同居最長12ヶ月(更新可)国籍配偶者・親族TRC申請可(最長3年)
ĐT1(投資・大規模)1,000億VND超の投資最長10年投資先法人TRC最長10年
ĐT2(投資・中大規模)300〜1,000億VNDの投資最長5年投資先法人TRC最長5年
ĐT3(投資・中規模)30〜300億VNDの投資最長3年投資先法人TRC最長3年
ĐT4(投資・小規模)30億VND未満の投資最長12ヶ月投資先法人TRCは限定的
TRC(一時居住カード)長期居住の身分証1〜10年(連動ビザ依存)連動ビザに依拠連動ビザと同期

実態としては、多くがe-visa(短期下見)→DN(商用)またはLĐ(就労)→TRC(長期居住)の3段階で進みます。退職目的の長期滞在では、e-visaの繰り返し+投資ビザ(ĐT3またはĐT4)が代替経路として見られます。

投資額や雇用要件の最新値はJETRO ベトナム投資制度で更新されるため、申請前の最終確認は一次情報に当たるのが確実です。

なお、東南アジア全体の費用感や移住手順を先に押さえたい場合は、東南アジア移住の手順・費用ガイドもあわせてご確認ください。

移住検討者が最も誤解しやすい3類型

特に誤解されやすいのは、次の3類型です。

  1. e-visa(90日でも長期滞在には使えない)
  2. DN(招聘元がない単独出張は不適合)
  3. ĐT4(小額投資では長期居住に不十分)

e-visaは90日マルチプル化されましたが、更新不可・現地延長も限定的です。90日経過後はいったん出国し、再申請するか別ビザへ切り替える必要があります。長期滞在前提なら、別ビザへの切替が安全です。

DN(商用)は、ベトナム企業からの招聘状が前提です。招聘元がない単独出張・個人視察は不適合で、短期下見はe-visa、就労はLĐが該当します。

ĐT4(投資・小規模)は滞在期間が最長12ヶ月・TRC取得も限定的で、長期居住を目的とするなら実質的にĐT3以上が必要です。

e-visaの90日マルチプル化と下見ルート設計

2023年8月のe-visa拡張で、ベトナム移住の入り口は大きく整いました。従来は30日・シングルだったe-visaが最長90日・マルチプルエントリー化され、対象国も全世界に拡大されています。

これにより「下見→現地確認→本格ビザ申請」の3段階を90日以内で完結できるようになりました。下見のハードルが下がり、移住検討者の動き方が現実的になっています。

e-visa申請の実務フロー

e-visaは在外公館サイトからベトナム入国管理局の公式e-visaシステム(evisa.xuatnhapcanh.gov.vn)にリンクされており、基本フローは次の通りです。

ステップ所要時間の目安準備物
1. パスポート顔写真ページのスキャン10分パスポート(残存6ヶ月以上)・顔写真データ
2. 申請フォーム入力30〜60分滞在先住所・滞在予定日・入出国空港・職業情報
3. 申請手数料の支払い5〜10分クレジットカード(VISA/Master)
4. e-visa審査待ち3〜5営業日(標準)申請番号でステータス確認
5. e-visa PDFダウンロード5分承認後の通知メール
6. 入国時の提示入国審査時印刷したe-visa PDF+パスポート

よくあるつまずきは「入力ミス・決済トラブル・申請タイミング」の3つです。標準は3〜5営業日ですが、不備があると7〜10日かかることもあるため、入国予定日の2週間以上前の申請が安全です。

なお、e-visaの手数料は外貨送金が必要な場面もあります。海外での送金・決済コストを抑えたい場合は、海外送金サービスの比較(Wise等)もあわせて確認しておくと、申請以降の生活コストの見通しが立てやすくなります。

e-visa90日 vs 観光DL vs アライバルビザ

「e-visaがあれば他の観光系ビザは要らないのでは」という疑問は多く聞かれます。3者の位置関係は次の通りです。

  1. e-visa(推奨):最長90日・マルチプル・全世界対応
  2. 観光DLビザ(旧来型):30〜90日・特殊用途に残る選択肢
  3. アライバルビザ(空港取得):拡張後は使用機会が大幅減少

2026年時点では、短期下見・観光・短期商用の大半がe-visa選択で、観光DL・アライバルビザは特殊用途に限定される運用です。最新の取扱いは外務省海外安全ホームページ ベトナムでご確認ください。

商用DN・労働LĐ・結婚TTの実務整理

e-visa・観光ビザの先にある中長期滞在ビザは、目的によってDN(商用)/LĐ(労働)/TT(結婚・家族)の3つに分岐します。受入主体が必須になる点が、e-visaとの最大の違いです。

DN(商用ビザ):招聘状ベース

DNはベトナム国内企業の招聘状(Letter of Approval)をベースに取得します。滞在期間は3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月のオプションがあり、入国管理局は招聘元の企業実態と目的整合性を審査します。

DN取得に必要なのは、「招聘元の企業実態」「申請者と企業の関係性」「滞在期間の合理性」の3点を整えることです。

LĐ(労働ビザ):労働許可証が前提

現地法人での就労には、前提として労働許可証(Giấy phép lao động)が必須です。雇用主企業がベトナム労働傷病兵社会省(MOLISA)に申請し、申請者の学歴・職歴・健康診断書・無犯罪証明書(日本側でアポスティーユ付与)を提出します。

許可証の有効期間に応じてLĐの滞在期間(最長2年)が決まり、その後はTRCへ切り替えるのが居住のフローです。海外就労時は日本側の社会保険・年金の扱いも関わるため、厚生労働省 海外勤務者の社会保険もあわせて確認しておくと安心です。

TT(結婚・家族訪問ビザ):配偶者・親族と連動

TTはベトナム国籍の配偶者・親族との同居を目的とするビザで、最長12ヶ月・更新可です。配偶者を招聘者として申請でき、TRCへの切替で最長3年の居住身分につながる経路が見られます。

婚姻関係の証明書類(婚姻証明書・配偶者の戸籍相当・住民票)の準備に時間がかかるため、申請の2〜3ヶ月前から書類を整え始めるのが現実的です。

個別の要件・必要書類・最新の制度改正は、在ベトナム日本国大使館・在ホーチミン日本国総領事館・現地の行政書士または移住代行業者にご確認ください。

投資ビザĐTの4階層と現実的な取得難度

ベトナムは投資ビザĐTを投資額に応じた4階層に区分しています。JETRO ベトナム投資制度に基本情報が整理されており、退職目的の長期滞在希望者にとっては、投資ビザが退職ビザ不在を補う経路になり得ます。

区分投資額の目安(VND)USD換算の目安滞在期間TRC期間取得難度の目安
ĐT11,000億VND超約4.32M USD超最長10年最長10年大型法人投資・実務的にレア
ĐT2300〜1,000億VND約1.3〜4.32M USD最長5年最長5年中堅企業投資・要件整備が長期化
ĐT330〜300億VND約130K〜1.3M USD最長3年最長3年中規模投資・現地法人設立で取得可
ĐT430億VND未満約130K USD未満最長12ヶ月限定的少額投資・長期居住には不十分

USD換算はおおよその目安で、為替レートにより変動します。具体的な投資額・要件は、申請時点の一次情報と現地法律事務所への確認を前提にしてください。

退職後の長期居住を目的とする場合、現実的な下限はĐT3と見られます。ĐT4は滞在最長12ヶ月・TRCも限定的で、長期居住の安定性に欠けます。一方ĐT3(約130K〜1.3M USD)なら、現地法人設立+実体ある事業運営で最長3年のTRCが取得可能です。

ĐT3で現地法人を設立する実務フロー

ĐT3取得の実務は、おおむね次の流れに収まります。

  1. STEP1:投資目的・事業計画の設計
  2. STEP2:現地法人形態の選定(100%外資LLC・合弁等)
  3. STEP3:投資登録証(IRC)の取得
  4. STEP4:企業登録証(ERC)の取得
  5. STEP5:銀行口座開設・投資資金の送金
  6. STEP6:ĐT3ビザ・TRC申請

このフローの所要期間は3〜6ヶ月で、各ステップで現地の法律事務所・会計事務所・行政書士の支援が必要になります。投資ビザは単独のビザ申請ではなく、現地法人設立+投資登録+ビザ申請の三層プロジェクトとして計画するのが現実的です。

最終的な投資計画・必要書類・最新の制度は、JETROのアジア進出支援窓口・現地法律事務所にご相談ください。

ベトナムに退職ビザがない問題と50代以上の3軸選択肢

ここが本記事の中核です。ベトナムには現時点で、タイのO-A・マレーシアのMM2H・フィリピンのSRRVに該当する退職者向け長期ビザがありません

退職後の長期滞在先として検討していた人が、この事実で選択肢を絞り直すケースは少なくありません。退職ビザ不在のなか、50代以上の長期居住希望者が現実的に取れる選択肢は、次の3軸に整理できます。

軸1:TT(結婚・家族訪問ビザ)ベース

ベトナム国籍の配偶者がいる場合、TT→TRC(最長3年)の経路で長期居住が可能です。婚姻関係の証明書類と配偶者側の経済的支援証明を整える必要がありますが、配偶者がいるなら最も安定した選択肢になります。

軸2:ĐT(投資ビザ)ベース

現地法人を設立し、投資ビザĐT3(30〜300億VND)以上を取得する経路です。実質的な投資額の下限は約130K USD(約2,000万円相当)で、現地法人運営の実体(事業活動・雇用・税務申告)を継続的に維持する負担があります。

不動産投資(外国人持分制限あり)・飲食店経営・観光業への投資などが検討対象になります。

軸3:e-visaの繰り返し利用(半長期居住)

e-visa(最長90日マルチプル)を出国・再入国で繰り返す方式です。「半年〜1年単位で日本と往復する」ライフスタイルに向きます。

ただし、各国大使館・入国管理局の運用次第で長期居住意図が判定されるリスクがあります。長期居住を確定したい場合は、TT・ĐTのいずれかへの切替が安全です。

50代以上の選択肢の現実
  • 配偶者がいるならTTが最も安定
  • 投資資金が確保できるならĐT3(現地法人設立を伴う)
  • 資金・配偶者に制約があるならe-visa繰り返し+他ASEAN国(タイのリタイアメントビザ等)の併用

退職後の長期居住地としてベトナムが最適か、ASEAN他国が最適かは、年齢・配偶者・資金・健康状態で大きく変わります。最終判断は在外公館・行政書士・移住代行業者にご相談ください。

一時居住カード(TRC)取得の実務フロー

長期居住を目指す場合、入国時のビザ(DN/LĐ/TT/ĐT)に加えて一時居住カード(Thẻ tạm trú・TRC)の取得が、居住身分の安定につながります。

TRCは入国管理局が発行する身分証で、有効期間内はビザ更新を待たずに自由に出入国でき、住居登録・銀行口座開設・現地サービス利用でも強力に機能します。在ホーチミン日本国総領事館の領事情報でも、長期居住者の身分管理にはTRC取得が案内されています。

ステップ担当所要時間の目安主な書類
1. 招聘ビザ(DN/LĐ/TT/ĐT)の取得・入国本人+受入主体1〜3ヶ月招聘状・受入主体の登録証
2. 健康診断書の取得(指定医療機関)本人1〜2週間HIV・結核・精神疾患等の検査結果
3. 無犯罪証明書の取得(日本側)本人1〜2ヶ月(アポスティーユ込み)警察証明・外務省アポスティーユ
4. TRC申請書類の準備本人+受入主体2〜4週間パスポート・ビザ・受入主体の証明書類
5. 入国管理局へのTRC申請受入主体(代理申請)5〜10営業日申請書一式
6. TRC受領本人承認後数日申請受理通知+パスポート

つまずきやすいのは「無犯罪証明書のアポスティーユが間に合わない」「健康診断書の再検査が発生する」「受入主体の書類整備に時間がかかる」の3つです。TRC申請は受入主体が代理で行うため、受入主体との連携が成否を分けます

ハノイ vs ホーチミン 居住地比較

ベトナム移住の判断では、ビザ選定と並行して居住地の選定も大きな論点になります。南北に長い国土で、ハノイ(北部・首都)とホーチミン(南部・旧サイゴン)は気候・物価・コミュニティ規模が大きく異なります。

項目ハノイ(北部・首都)ホーチミン(南部・旧サイゴン)
気候四季あり(冬は10度前後まで低下)年中温暖(平均25〜35度)
家賃(1LDK中心部)600〜1,200USD/月700〜1,400USD/月
外食(ローカル)1食 3〜6USD1食 3〜6USD
外食(日系)1食 10〜25USD1食 10〜30USD
日本人居住者数約1〜2万人規模約2〜3万人規模
日本食材店主要エリアに数店舗主要エリアに多数
医療(日本語対応)限定的だが通訳あり日本語対応医療機関が複数
日本との直行便成田/関空/中部羽田/成田/関空/中部/福岡

家賃・外食価格は2026年時点の参照レンジで、為替・物件・店舗で変動します。

選好の傾向としては、「気候・利便性重視ならホーチミン、四季・落ち着いた雰囲気重視ならハノイ」に分かれます。年中温暖で直行便も多く、日本語対応医療機関の選択肢が広いホーチミンを選ぶ層がやや多めです。一方、北部の四季を好む層、商談相手が北部に集中する層はハノイを選びます。

最新の物価・家賃はJETRO ベトナムの現地レポートや、現地の不動産仲介・移住経験者の発信でご確認ください。

なお、現地での医療費・トラブルに備えるなら、渡航前に海外移住保険の比較(クレカ付帯・医療・旅行)を確認しておくと、長期居住の安全網が整えやすくなります。

日本との社会保険・税務の連動

長期居住を計画する場合、ビザ選定と並行して日本側の住民票(海外転出届)・国民健康保険・国民年金・税務の整理が必要です。

出入国在留管理庁では在留届・転出届の連動が案内され、国税庁 居住者・非居住者の所得課税では海外居住期間中の課税の扱いが整理されています。1年以上の海外居住を予定する場合、転出届で非居住者扱いとなり、日本国内源泉所得のみが日本の課税対象となる整理が一般的です。

個別の税務処理・社会保険手続きは、税理士・社会保険労務士または市区町村役場にご相談ください。

ベトナム移住ビザ選定 6ステップ判定フロー

ここまでの整理を、実際にビザを選定する6ステップに落とし込みます。

  1. STEP1:目的の整理
  2. STEP2:受入主体の確認
  3. STEP3:滞在期間の設計
  4. STEP4:必要書類の整備
  5. STEP5:申請ルートの選定
  6. STEP6:TRC・更新計画の設計

  1. STEP1:目的の整理 観光・下見/商用/就労/結婚/投資/長期居住のどれか。目的でビザ種別の候補が決まります。
  2. STEP2:受入主体の確認 受入企業・配偶者・投資先法人の有無を確認。受入主体なしで取れるのはe-visa・観光DLのみです。
  3. STEP3:滞在期間の設計 30日以内/90日/1年/2〜10年のどれを目指すか。期間と目的・受入主体の組み合わせで7類型のうち1〜2つに絞られます。
  4. STEP4:必要書類の整備 パスポート(残存6ヶ月以上)・健康診断書・無犯罪証明書・招聘状・婚姻証明書・投資登録証など、選定ビザに応じて2〜3ヶ月前から準備開始
  5. STEP5:申請ルートの選定 e-visaは公式オンライン申請、DN・LĐ・TT・ĐTは在外公館または現地代理人経由。投資ビザは現地法律事務所の支援が事実上必須です。
  6. STEP6:TRC・更新計画の設計 長期居住なら入国後のTRC申請(受入主体経由)と更新計画を初期段階で組み立てます。連動ビザと健康診断書・無犯罪証明書の有効期間が重ならないよう調整します。

このフローでの所要期間は2〜6ヶ月が目安です。e-visaのみなら2週間程度ですが、TRC取得まで含めた長期居住経路では半年単位の準備を見込んでおくと安全です。

よくある質問

ベトナム移住ビザに関する質問のなかで、頻出のものを整理します。

Q1:ベトナムにタイのリタイアメントビザのような退職者向けビザはありますか?

2026年時点では、ベトナムにタイ・マレーシア・フィリピンのような退職者向け長期滞在ビザは存在しません。50代以上の長期居住希望者は、(1)TT(ベトナム国籍配偶者がいる場合)/(2)ĐT3以上の投資ビザ/(3)e-visaの繰り返し利用、の3軸から選択することになります。最新の制度改正は在ベトナム日本国大使館の査証案内でご確認ください。

Q2:e-visa(90日マルチプル)を繰り返し使えば、実質長期滞在できますか?

制度上は出国・再入国で繰り返し申請は可能ですが、各国大使館・入国管理局の運用次第で長期居住意図が判定されるリスクがあります。e-visaは観光・短期商用・下見を目的とした制度で、長期居住の恒常化は制度の趣旨と異なる運用と見なされる可能性があります。長期居住を確定したい場合は、DN/LĐ/TT/ĐTへの切替が安全です。

Q3:投資ビザĐTの最低投資額の目安は?

ĐT4は30億VND未満(約130K USD未満)の少額投資が対象で、滞在は最長12ヶ月・TRC取得は限定的です。退職後の長期居住経路としてはĐT3(30〜300億VND・約130K〜1.3M USD)が現実的な下限で、最長3年のTRCが取得可能です。具体的な投資額・要件はJETRO ベトナム投資制度で最新情報を確認の上、現地法律事務所にご相談ください。

Q4:ハノイとホーチミン、どちらが日本人移住者には合いやすいですか?

気候・利便性・日本人コミュニティの規模・日本語対応医療機関の充実度を重視するならホーチミン(南部・年中温暖)、四季や落ち着いた雰囲気を好むならハノイ(北部・首都)が選好される傾向があります。日本との直行便はホーチミンが多く、長期居住者には移動しやすさの利点が大きめです。実際の居住地選定は、短期下見(e-visaで2〜4週間)で両都市を比較するのが有効です。

Q5:ベトナムでの就労ビザ(LĐ)には何が必要ですか?

LĐは現地法人での雇用を伴うビザで、前提として労働許可証(Giấy phép lao động)の取得が必要です。雇用主企業がMOLISAに申請し、申請者の学歴・職歴・健康診断書・無犯罪証明書(日本側でアポスティーユ付与)を提出します。学歴は大卒以上、職歴は職種に関連する3年以上が必要となるケースが見られます。詳細は雇用主企業・現地法律事務所にご相談ください。

Q6:ベトナムで現地法人を作るのに、どのくらいの期間と費用がかかりますか?

現地法人設立(100%外資LLC・ĐT3取得目的)の目安は、期間が3〜6ヶ月、設立費用(法律事務所・会計事務所・許認可取得費用込み)が1〜3万USDです。投資資金とは別に必要な費用です。投資登録証(IRC)・企業登録証(ERC)・銀行口座開設・税務登録までを含む金額で、業種・事業内容で変動します。具体的な見積もりはJETROのアジア進出支援デスクと現地法律事務所で確認できます。

Q7:長期居住する場合、日本の住民票・国民健康保険はどうすればいいですか?

1年以上の海外居住を予定する場合、市区町村役場に海外転出届を提出すると非居住者扱いとなり、国民健康保険・国民年金は資格喪失(国民年金は任意加入の選択肢あり)となります。国税庁の整理では、海外居住期間中は日本国内源泉所得のみが日本の課税対象となる扱いが示されています。個別判断は税理士・社会保険労務士または市区町村役場にご相談ください。

Q8:ベトナム移住のサポートはどこに頼めばいいですか?

ビザ取得・現地法人設立・住居選定・銀行口座開設までを一括サポートする現地代行業者・現地法律事務所が複数あります。JETRO ベトナムのアジア進出支援デスクは投資・現地法人設立の公的相談窓口として活用できます。個別の代行業者は「実績」「日本語対応」「現地法律事務所との提携」の3点で比較するのが基本です。最終判断はご自身での比較検討と複数業者からの相見積もりを前提にしてください。

まとめ:ベトナム移住ビザは3軸で7類型から選ぶ

最後に、ベトナム移住ビザの判断軸を整理します。

この記事のまとめ
  • ビザは「目的×滞在期間×受入主体」の3軸で7類型から選ぶ
  • 短期下見・観光はe-visa(最長90日マルチプル)が中心的な選択肢
  • 就労はLĐ(労働許可証必須)、結婚はTT、投資・起業はĐT3以上が現実的な下限
  • 長期居住の安定にはTRC(一時居住カード)取得が鍵
  • ベトナムに退職ビザはない。50代以上はTT・ĐT3・e-visa繰り返しの3軸から選択
  • 居住地は気候・利便性ならホーチミン、四季ならハノイが選好の目安

ベトナムは制度改正の頻度が比較的高い国です。本記事の整理は2026年時点のものとして参照し、申請時点の最新運用は必ず一次情報でご確認ください。最終的なビザ選定・申請手続きは、在ベトナム日本国大使館・在ホーチミン日本国総領事館・ベトナム入国管理局・現地の行政書士・移住代行業者にご相談ください。

なお、台湾も移住先として比較される国です。あわせて検討する場合は台湾移住ビザの種類・選び方もご確認ください。


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免責事項

※本記事はビザ・在留制度の公開情報をもとにした2026年時点の整理です。ビザ要件・必要書類・制度は国・年度で変わるため、最新の取扱いは在ベトナム日本国大使館・在ホーチミン日本国総領事館・ベトナム入国管理局など公式情報でご確認ください。投資・税務・社会保険など重要な判断は、必要に応じて行政書士・税理士・社会保険労務士など有資格者へご相談ください。


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この記事を書いた人

Hiranoです。海外移住とビザ申請をサポートする会社で4年間、タイ・マレーシア・フィリピンへ移る方の手続きを補佐してきました。担当した申請は100件を超えます。

退職後は自分自身もタイに2年住み、バンコクとチェンマイでビザの更新や現地の銀行口座開設、毎月の生活費のやりくりを一通り経験しました。書類を代わりに整える側と、実際に現地で暮らす側。両方を通ると、パンフレットには載らない落とし穴が見えてきます。ビザの条件や税制は短い期間でも変わるので、このサイトの情報を出発点にしつつ、申請前には必ず大使館や入国管理局の最新情報をご確認ください。東南アジア移住の実務を、なるべく具体的にお伝えします。

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